第1回音楽本大賞・個人賞・受賞のご報告

この度、『ローシー・オペラと浅草オペラ――大正期翻訳オペラの興行・上演・演劇性』(森話社、2022)が第1回音楽本大賞・個人賞(輪島裕介選)を受賞いたしました。 音楽本大賞は、音楽評論家と読者が中心となりクラウドファンディングで設立された賞で、公…

令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞のご報告

この度、拙著『ローシー・オペラと浅草オペラ――大正期翻訳オペラの興行・上演・演劇性――』(森話社、2022年)で、令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)を受賞しました。これまで研究を応援していただいた皆様ありがとうございます。 贈…

コロナ禍と演劇――肥田博量の衛生劇

コロナ禍関連書として、書店でスティーヴン・ジョンソン『感染地図 歴史を変えた未知の病原体』(河出文庫、2017)が平積みだったので買って読む。 19世紀のロンドンで大流行したコレラ禍に対して、後に「疫学の父」と呼ばれるようになる医師ジョン・スノー…

清水邦夫

劇作家の清水邦夫氏の訃報を聞く。おそらくマスコミの訃報記事では、蜷川幸雄とのコンビで知られる櫻社時代のエピソードを中心に取り上げるのだろうが、劇作家としての清水邦夫の真価が発揮されたのは、蜷川と別れた後の、木冬社の『楽屋』や劇団民藝に書き…

明治大正期の東北地方の大衆演劇(メモ)

明治大正期の田舎芝居、所謂「ドサ廻り」を調べているが、そのメモ。西日本に比べて東日本、特に東北地方の資料が思った以上に少ない。中央で発行されていた雑誌に情報が載らないのは仕方ないが、地域の年史や新聞を見ても、情報は限られているようだ。 とり…

Tom & Jerry: Golden Collection, Vol. 1 [Blu-ray]

品切れ状態だった『トムとジェリー』北米版Blu-rayが再販されたので購入。それを見たメモ。 第1作「Puss gets the boot(邦題:上には上がある)」1940年2月10日公開。 プロデューサーとしてクレジットされるのは Rudolf Ising 。アイジングはディズニー・プ…

梅ヶ丘Boxで「『楽屋』フェスティバル」を観る。

清水邦夫の『楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき〜』は、清水の代表作というだけでなく、様々な劇団による上演数の多さでは現代演劇随一だろう。 個人的にも木冬社(1996)、新宿梁山泊(1998)、兵庫県立ピッコロ劇団(秋浜悟史追悼、2005)、シス・カン…

『古川ロッパ 食べた、書いた、笑わせた! 昭和を日記にした喜劇王』河出書房新社

古川ロッパ論を寄稿したムック本『古川ロッパ 食べた、書いた、笑わせた! 昭和を日記にした喜劇王』(河出書房新社、2015年2月27日)が刊行されました。 同書は古川ロッパの文章や座談、彼について書かれたものを集めた一冊で、これで小説や文学論などの一…

『古川ロッパ 食べた、書いた、笑わせた! 昭和を日記にした喜劇王』河出書房新社

古川ロッパ論を寄稿したムック本『古川ロッパ 食べた、書いた、笑わせた! 昭和を日記にした喜劇王』(河出書房新社、2015年2月27日)が刊行されました。 同書は古川ロッパの文章や座談、彼について書かれたものを集めた一冊で、これで小説や文学論などの一…

筒井康隆『繁栄の昭和』文藝春秋――喜劇女優「高清子」

筒井康隆『繁栄の昭和』文藝春秋――喜劇女優「高清子」 表紙を見て「これは・・・!」 と思ってパラパラめくるとやっぱり「高清子(こうきよこ)」。スバラシイ装幀なので購入。 筒井康隆の本を新刊で購入したのは中学?高校?以来だと思う。大御所は生きてる…

公開シンポジウム 浅草オペラの音楽・舞踊・演劇

浅草オペラのシンポジウムを開催します。 基調講演:小針侑起 (浅草オペラ研究家)「大衆と共にあった浅草オペラ」 シンポジウム: 毛利眞人(音楽ライター)「浅草オペラから昭和レヴュー時代にかけての音楽的変遷〜佐々紅華を中心として〜」 杉山千鶴(早…

非シス人『青ひげ公の城』@サンモールスタジオ

非シス人-Narcissist-vol.22 寺山修司生誕80年『青ひげ公の城』九條今日子へ愛を込めて 新宿 サンモールスタジオ 2015年2月8日(土)(2月5日〜9日) マチネ 14:00〜 前売4000円、当日4500円初見の劇団。 寺山修司『青ひげ公の城』をオリジナル音楽でやると…

石井光三、高勢ぎん子、河竹登志夫

コント赤信号の育ての親として知られる石井光三氏が今月6日に亡くなっていたとの報道がある。 確かこの人は若い頃に剣劇俳優だったと聞いたことがあったので、 気にしながらいくつかテレビのニュースを見ていたが、 自分が見た限りでは、そのことにふれた報…

松竹創業120周年 壽新春大歌舞@歌舞伎座 昼の部 11:00〜一、祇園祭礼信仰記 金閣寺 二、蜘蛛の拍子舞 花山院空御所の場 三、一本刀土俵入 『金閣寺』の松永大膳、今回は染五郎。 これまで幸四郎で二度観て、DVD版も幸四郎なので、比較してしまう。 比較す…

OFFICE SHIKA PRODUCE「山犬」

2014年8月13日(水)17:00〜@座・高円寺1 休憩なし約1時間50分作・演出:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し) 原作:入交星士 音楽:入交星士・オレノグラフィティ 出演:鳥肌実、森下くるみ、ISSOP、山岸門人、オレノグラフィティ、丸尾丸一郎 2006年初演の再演らし…

『北野誠のおまえら行くな。東京怪議2014 』

2014年6月1日(日)Open 17:00 Start 18:00 End 20:30 (予定)、21:10(実際) @東京カルチャーカルチャー 全席自由:\2,700(1オーダー制) 出演:北野誠、鎌倉監督、にしうらわ(西浦和也)『北野誠のおまえら行くな。東京怪議2014 』の宣伝を兼ねたイベ…

武田一義『さよならタマちゃん』

さよならタマちゃん (イブニングKC)作者: 武田一義出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/23メディア: コミックこの商品を含むブログ (23件) を見る35歳、漫画家アシスタントによる精巣癌の闘病記。 約一年に及ぶ入院生活の殆どが抗がん剤治療で、抗がん剤…

劇団A.P.B-Tokyo第28回公演『毛皮のマリー』@阿佐ヶ谷ザムザ

8月31日 19:30〜@阿佐ヶ谷ザムザ寺山のコミカルな部分がバランス良く発揮された、ポップで現在的な『毛皮のマリー』となっていた。 オネエ・タレントがテレビを賑わす現在のマリーとしてこれは正攻法の『毛皮のマリー』だろう。素直に「次回公演も見てみた…

舞踊家・小森敏を知る

「近代日本のダンスを考える会」主催の公開シンポジウムに出席する。 『舞踊家・小森敏(1887-1951)を知る』 2013年8月6日 13:30〜16:10 新宿区角筈区民ホール司会進行:國吉和子第1部:人を知る 茂木秀夫「小森敏のパリ時代とパリの日本人事情」 藤井利子…

勝手にアングラ祭り

7月27日 マチネー、ソワレとアングラ観劇1)万有引力『呪術音楽劇 邪宗門』@座・高円寺 14:00〜(追加公演)自由席 万有引力の公演は実に10年以上の観劇。寺山修司没30周年・万有引力創設30周年公演。 『邪宗門』はその脱演劇的なコンセプトを含め、現在の…

今なら山田花子も死なずにすんだのだろうか。

エロエロ草紙 【完全カラー復刻版】

エロエロ草紙 【完全復刻版】作者: 酒井潔出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2013/06/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見るつい数ヶ月前に「国立国会図書館、デジタル化資料アクセス数第1位は発禁エロ本?!」の見出しでニュースにもなった酒…

雑誌『歌劇』2013年3月号 宝塚歌劇考②

来年は宝塚歌劇団初演から100周年。というわけで、宝塚歌劇団の機関誌『歌劇』の持ち回り連載「宝塚歌劇考」の第2回として中野正昭「宝塚と浅草―民衆娯楽の理想郷」を執筆しました。 ページ数内で収めるのが難しく、ちょっと詰め込みすぎな内容になってしま…

GAMARJOBAT SILENT and TALK -が〜まるちょばサイレントコメディーの世界-

明治大学の公開講座でパントマイム・デュオ「が〜まるちょば」のお二人をお迎えして 《パフォーマンス》と、ななななななんと《トーク》イベントが催されます。 中野はトークの司会をさせていただきます。一般無料となっていますが事前予約が必要となってい…

ふくすけ

久々の更新 『ふくすけ』松尾スズキ 作・演出 2012年8月22日(水)@シアターコクーン 初演(1991@ザ・スズナリ)は見逃したが、再演(1998@世田谷パブリックシアター)、そして今回の再々演を観劇する。 松尾スズキは再演時は人気作家だったが、今ではす…

須藤元気Presents WORLD ORDER LIVE〜Beginning of the world〜

2011年12月30日(金) start 14:00〜 @日本橋三井ホールどういう構成と演出で見せるのか?という興味もあって WORLD ORDER へ。 意外なことに小さな子供連れの客が多かった。内容はPVでお馴染のダンスの他に、メンバーのソロ、パントマイムなどで構成され、…

『ムーラン・ルージュ新宿座』書評 鹿島茂 「毎日新聞」今週の本棚:2011年「この3冊」 

「毎日新聞」(2011年12月11日付)の書評特集「今週の本棚:2011年「この3冊」」で、鹿島茂氏の「この3冊」の1冊に、金文京『漢文と東アジア−−訓読の文化圏』(岩波新書)、伊達聖伸『ライシテ、道徳、宗教学−−もうひとつの19世紀フランス宗教史』…

『ムーラン・ルージュ新宿座』書評 鹿島茂 「週刊文春」

12月8日発売の「週刊文春」(2011年12月15日号)の文春図書館「私の読書日記/昔の東京、レヴュー劇場、どりこの」にて鹿島茂氏に拙著『ムーラン・ルージュ新宿座』の書評をいただた。 以前、これ〔ムーラン・ルージュ新宿座〕に興味を持ち調べてみたことが…

早稲田大学演劇博物館「日活向島と新派映画の時代展」

演博で始まった「日活向島と新派映画の時代展」がすばらしい。 2009年の「新派展〜館蔵品でたどる新派百二十年の歴史」もそうだったが、演博には新派・新派映画関連資料が結構あるのだが、なかなか人目に触れる機会がない。個人的には資料のお蔵だしというだ…

『ムーラン・ルージュ新宿座』書評 井上理恵 「図書新聞」

11月26日発売の「図書新聞」(2011年12月3日付)で日本近現代演劇研究の大先輩である井上理恵氏に拙著『ムーラン・ルージュ新宿座』の書評「大衆的都市芸能の歴史的事象が初めて明らかにされる――章の展開と共に浮かび上がる、新宿ムーランの数奇な運命」をい…