Tom & Jerry: Golden Collection, Vol. 1 [Blu-ray]

品切れ状態だった『トムとジェリー』北米版Blu-rayが再販されたので購入。それを見たメモ。

 

第1作「邦題:上には上がある)」1940年2月10日公開。

プロデューサーとしてクレジットされるのは Rudolf Ising 。アイジングはディズニー・プロで『兎のオズワルド Oswld the lucky rabbit』の制作にも参加したアニメーター兼プロデューサー。ただし彼の名前がクレジットされるのはこの第1作のみ。

 

アイジングは、テレビ放送『トムとジェリー』の真ん中の作品のひとつ『クマのバーニー Barney bear』のアニメーターでもある。バーニーはテックス・エイヴリーの作品に似た雰囲気があるが、Tex Avery: The MGM Years, 1942-1955 に同作の名前がないので未参加か? テレビでのバーニーの声は2代目・三遊亭金翁(4代目・金馬)

 

原題をそのまま訳すと「猫君、ブーツで蹴られる」で、オープニング・タイトルのイラストでもそれが示されている。よく見るとジェリーがちゃんとブーツを履いている。また "get the boot" はスラングで「解雇」の意味があるので、それがトムが家を追い出されるオチにもつながっている。

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"And when I says out, Jasper, I means out. O-U-W-T, out !"

黒人の家政婦 Mammy Two Shoes は黒人訛に加え、"out" を "ouwt" と発音する南部訛があるので、トム達が住むのはおそらく南部。以前発売された国内版DVDでは、先の台詞は "O-U-T" となっている。『トムとジェリー』をはじめとするカートゥーンは劇場短編映画として制作され、後にテレビ放送されるようになると、人種差別的な表現が修正されるのが常なので、これも同じ理由で再録音されたものか?

 

MGMの首脳陣はギャグ満載の第1作をあまり評価しなかったが、第1作がアカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされたことでシリーズ化を決定した。

 

第1作では "Tom" (Thomas) の名前は "Jasper"、"Jerry" は "Jinx" 。トムとジェリーになるのは第2作からで、アニメーターのジョン・カー John Carr がイギリスのクリスマス・カクテル "Tom and Jerry" に因んで名づけた。