『ムーラン・ルージュ新宿座』書評 鹿島茂 「毎日新聞」今週の本棚:2011年「この3冊」 

毎日新聞」(2011年12月11日付)の書評特集「今週の本棚:2011年「この3冊」」で、鹿島茂氏の「この3冊」の1冊に、金文京『漢文と東アジア−−訓読の文化圏』(岩波新書)、伊達聖伸『ライシテ、道徳、宗教学−−もうひとつの19世紀フランス宗教史』(勁草書房)と共に拙著『ムーラン・ルージュ新宿座――軽演劇の昭和小史』(森話社)が選ばれました。

 『ムーラン・ルージュ新宿座』は浅草に発した大衆文化が新宿という新中産階級の町のレビュー小屋をフィルターにして戦後のテレビ文化へと繋(つな)がっていく過程を見事に実証。

 いずれも狭い視野では「見えていなかった」ものをスパンを大きく取ることで「見える」ようにした功績を評価したい。

今年はムーラン・ルージュ新宿座開場80年、閉場60年にあたることもあり、映画『ムーランルージュの青春』(幻野プロダクション)をはじめ幾つかのムーラン・ルージュ新宿座関連の企画がありました。時代の片隅に色濃く存在したムーラン・ルージュ新宿座の〈記録〉や〈記憶〉が、未曾有の震災に襲われた今年の思い出深い一冊に選ばれたことは筆者として感慨深い。

鹿島氏には前回の「週間文春」に続き、再び拙著を取り上げていただきありがとうございました。