■
松竹創業120周年
壽新春大歌舞@歌舞伎座
昼の部 11:00〜
一、祇園祭礼信仰記 金閣寺
二、蜘蛛の拍子舞 花山院空御所の場
三、一本刀土俵入
『金閣寺』の松永大膳、今回は染五郎。
これまで幸四郎で二度観て、DVD版も幸四郎なので、比較してしまう。
比較するのは結構だろうが、親子だとその比較の仕方が、どうしても客観的に芸だけを比べるとはならないので困る。染五郎の大膳が決して悪いわけではないが、幸四郎の印象から比べるとまだ若く、迫力に乏しかった。
勘九郎、七之助も出ていたが、勘三郎のコピーのような勘九郎の芝居(声というが正しいか)の方が、正月で陽気な気分の自分には心地よかった。
で、その幸四郎の『一本刀土俵入』だが、長谷川伸作品の中でもこの舞台は、これまで個人的にその面白さがピンとこなかった。そして今回もその感想は大きくは変わらなかった。特にクライマックスで桜の木を背後に立ち回りを見せるところなど、これは絵になる場面で確かにグッと来るのだが、やはり何だか物足りない。長谷川伸の作品があまり好みではないというのもあるが、前半のややコミカルな要素を持たせた展開と後半のヤクザ物になってからの演出のギャップがどうも苦手だ。
同じ新歌舞伎なら、夜の部の『番町皿屋敷』がここにきたら嬉しかった。
終演後、築地方面へ出て、チェーンの某寿司屋へ行ったが、市場が開くのが翌日からということもあり、鮪以外のタネが殆どなかったのは物足りなかった。ウニ、イクラはもちろん白身、光り物、いか、たこ、貝類どれも品切れ。取り敢えず鮪尽くしで一通り食べ、次いであるもので握ってもらい、また鮪に戻り、茶碗蒸しでしめる。
本社の指示なしに簡単に閉められないのだろうが、夜の部を見終えて来店した客は、私以上に何もないのかと思うと気の毒で仕方ない。正月からこれではどうにも寂しい。